■花■
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ほんの少しの砂糖。 「アスラン、ちょっと待・・」 カガリが叫んだがすでに遅くアスランは上着の裾に引っ掛けてその花を折ってしまっていた。 長めのコートを着てきたのが災いした。 久しぶりに会う想い人を前にしたとたんそれ以外のものは見えなくなってしまったらしい。 我ながら情けない。 根元からポキリと折れてしまった花を見下ろして他のものが目に入らないほどそれほどまでに彼女を求める愚かさを思う。 「この花は茎がすっごく弱いんだよ。すぐポキッと折れちゃうんだ」 駆け寄ってきたカガリはそう言いながらその花を拾った。 「気にするなよ」 花を持ってカガリが笑う。 「ごめん」 「気にするなってば」 謝るアスランにカガリはもう一度言った。 「根があればまた来年此処に咲く花なんだから」 「来年・・?」 「そう、だから大丈夫」 大地ニ根ヲ張ッテマタ再ビコノ地ニ咲ク花。 花を持ってカガリが笑う。 大丈夫だと笑う。 花が水を求めるように。 この花を求めてやまない。 花のように笑う人。 「お前のウチ、花瓶あったか?」 「ああ・・多分あると思う」 アスランは記憶を頼りに花瓶を探す。 一人暮らしでめったなことでは花など生けないのであったはずとは思うもののなかなか出てこない。 その間にカガリは勝手知ったるとばかりに台所へ直行した。 「これでいいか?」 「ああ」 ようやくアスランの探してきた花瓶を見てカガリは頷くと水を張った洗面器の中で花の茎をほんの少し切った。 「こうしてやると切り花は長持ちするんだ」 「へえ」 アスランはカガリの手元を覗き込みながら素直に感心する。 鋏の場所も知っていたらしいことにも。 「後花瓶に砂糖をちょっと入れてやるといいんだぞ」 「砂糖?」 「そう」 花瓶に水を入れてさらに砂糖も少し入れてカガリに渡してやる。 其処へカガリが花を挿した。 「甘い方がいいのか」 「らしいぞ?」 ほんの少しの砂糖。 「毎日水を代えるんだぞ」 「・・・・」 「水切りもしてやると長持ちするぞ」 「・・・・」 アスランの沈黙にカガリはむうと口を尖らせた。 「面倒くさいって顔に書いてあるぞ、お前」 「・・ああ」 アスランは苦笑した。 もっと他のことも顔に書いてるのに。 「だから毎日カガリが来てやってくれよ?」
ほんの少しの砂糖を、花に。
そして、オレに。
END
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カガリがアスランのうちに遊びに来たって感じで。
甘えっこ(笑)
砂糖を入れるといいというのは母親の受け売りなのですが(^^ゞ
10円玉を入れるといいとか聞いたことあるような気もするけど
どっちにしろSEEDの世界の通過は円じゃないよね?
2003.10.05