■誕生日■
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キミノ指先ガボクヲ温メル
「アスラン」 いきなり部屋にやってきてカガリが言った。 「お前もうすぐ誕生日なんだってな」 「・・・ああ」 そう言えばそうだった。 戦いの最中にはそんなことを考える余裕などなかったのだ。 「忘れてた」 「そう言うと思った」 カガリは大袈裟に呆れた顔をしてみせた。 「でさ」 「プレゼント、何が欲しい?」 「いろいろ考えたけど何がいいのか思いつかないんだ」 カガリは続けた。 「キラに相談したら本人に聞いてみれば、って言われたからさ」 欲しいもの。 「カガリにはもうたくさん貰ってるからいいよ」 「え?」 アスランの台詞にカガリはきょとんとした表情を返す。 「私は何もあげていないぞ?」 「モノじゃないよ」
カガリがくれたものは「物」ではなく。 だがいつまでも残るもの。 心の中に。
「それにカガリのおかげで助かったんだしね」 最後の戦い。 あの時確かに死を覚悟した。 覚悟と言うよりはここで死ななければいけないのだと思った。 破滅へのスイッチを押したパトリック・ザラの息子として・・・。 「あれは!」 カガリが強い口調で言った。 「別に助けたわけじゃない」
「私がお前に死なれたら嫌だっただけだ」
「私の我が侭なんだ。・・・だからそんなこといつまでも言うな」 「・・・うん」 アスランは思わずカガリを引き寄せた。 この気持ちを愛しいというのだろうか。 泣きそうな顔で口を尖らせるオーブのお姫様をいつからこんな風に思うようになったのかアスランにはわからない。 いつの間にか、というのが一番近い。 「じゃあ、指切りをしてよ。カガリ」 「ユビキリ?」 カガリはアスランを見上げて小首を傾げた。 「そう。昔キラに教わったんだけど」 そう言いながらカガリの小指に自分の小指を絡めてみせる。 指の先から伝わるカガリの体温。 キミノ指先ガボクヲ温メル 「歌を歌いながらこうやって約束をするんだ」 ♪指きりげんまん嘘ついたら針千本飲ます 「千本?!」 キラに教わったその歌を記憶を辿って歌う。 歌いながらそのリズムに乗って繋いだ手を振る。 大人しくされるがままになっていたカガリは最後のフレーズで驚いて大きな声を出した。 「針をか?」 「そう」 カガリの驚きを他所にアスランは涼しい顔で答える。 「だから絶対約束を破ったら駄目なんだ」 「確かに千本も飲まされたら大変だな」 妙なところで素直なカガリは神妙に頷いた。 「ところで私は何を約束すればいいんだ?」 もう一度首を傾げながら自分を見上げてくるカガリの目を見ながらアスランは言った。 「ずっとオレと一緒に居てくれること」 「え・・・?」 思わずカガリが聞き返す。 「病める時も健やかなる時も・・・」 「・・・ってお前それ何か違うぞ!」 真っ赤になって怒鳴るカガリに顔をよせてアスランは訊ねた。 まっすぐその瞳を覗き込んで。 「・・・嫌か?」
キミが死ぬなと言ってくれたから今此処に居る。 キミが手を取ってくれたから此処に存在する。 やりたいこと。出来ること。 生きているオレの前に道は無限に広がっているから。 まずは一歩をキミと歩き出したい。
「・・・馬鹿かお前」 アスランの問いにカガリは小さな声で答える。 さらに赤くなったカガリをアスランはゆっくり抱きしめた。
キミノ指先ガボクヲ温メル
この手を離さないために
ユビキリを、した。 END
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お誕生日プレゼントに託けてどさくさ紛れにプロポーズしました(笑)
相変わらずアスランがヘタレ気味な気がする(^^ゞ
2003.10.08