■慟哭の空■

 

 

 

 

切れ切れに戦争の終結を告げる放送が聞こえてくる。

爆発でぼろぼろになったガンダムルージュの操縦席に響くその音は

不明瞭で頼りない。

 

だが確かにこの戦いは終わったのだ。

 

 

 

ルージュのコクピットを開けて外に出たアスランを追ってカガリも表に出た。

そのまま抱きつく。

きつく。

 

此処にいると確かめたかった。

生きていると確かめたかった。

 

命は簡単に消えていくものだと地球で知った。

それは宇宙にきても同じで。

 

簡単に

簡単に

 

失われてしまう。

 

溢れて止まらない涙がヘルメットの中で透明な雫になる。

 

大切な人をこれ以上なくしたくなかった。

 

だから叫んだ。

「お前、逃げるなよ」

このままではたくさんの人が死ぬ。

もっとたくさんの命が消えてなくなる。

そのスイッチを押したのは紛れも無くアスランの父親だ。

アスランがその責任を取りたがっているのは、わかる。

 

わかるけれど。

 

どうしてもその手を離したくなかった。

 

「生きるほうが戦いだろ」

他にどう言えばいいかわからなかった。

 

生き延びて、そして。

 

死んだものを想って涙を流す。

還らないものを想って涙を流す。

 

守れなかったものを想って。

 

説得できなかったものを想って。

 

2度と会えない人を想って。

 

その方が辛いことだとわかっている。

わかっていて尚。

失いたくなかった。

 

自分に会えてよかったと言ってくれた人を

抱きしめてくれた腕を

離したくなかった。

 

 

 

 

 

 

 

切れ切れに戦争の終結を告げる放送が聞こえてくる。

その音は不明瞭で。

 

涙は止まらない。

 

抱きついたアスランの存在だけが今は唯一確かなものだった。

 

 

 

 

 

 

きつく背中に回し返されたアスランの腕も

 

震えていた。

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

生きていく方が難しいとしても

死なないでくれて本当に良かった。

2003.09.21