■生きて、守る■

 

 

「ったく姫もこんなヤツわざわざ仲間にしなくても・・」

「姫が決めたことだ。ブツブツ言うな、ニッパ。オレ達は従うだけだ」

「でも隊長」

バルの言葉にもニッパーは不満げだ。

一旦は姫がユンボルホーンを引き抜いたため死に至ったバイスだが、その後の処置が早かったため蘇生に成功した。

そのバイスを姫は自分を守る重機士の一人に加えると言うのだ。

つまり、バル・クロウ組に入れるということ。

「うっさいロン毛だな」

バイスはさも面倒くさそうに言った。

「ようするに死んでも守ればいいんだろ、ねーちゃんを」

「違うっつーの!お前はやっぱ全然バル・クロウ組のやり方をわかってないぜ」

ニッパーはバイスの言葉を否定した。

「死んでも姫を守るじゃなくて」

 

「死なずに守れ、ってことだよ」

 

「・・・・・」

バイスはポカン、と口を開けてニッパーの顔を長いこと見上げていたが、やがて言った。

「・・・わからねぇ」

「あーもう!!馬鹿だなお前は!!」

根が突っ込みな性質のニッパーは、ついそう言ってしまう。

「ニッパ」

「・・・すいません」

バルがニッパーを制した。

バイスは精製の過程での不具合で、少し頭が弱いのだという話を、バルもニッパーもリベッタから聞いていた。

普通に会話している分には、特にそんなことは感じないが。

それでもその『不具合』がバイスの罪ではない以上、出来るならそのことには触れないでやりたい。

とはいえ、バイスのほうは馬鹿と言われたことに対して、特に気にもしていないようだった。

「ようするにねーちゃんを守りゃいいんだろう」

「だからぁ!」

埒の明かない会話にニッパーは大声を張り上げた。

「ニッパ」

それをバルが再び名を呼ぶことで止めた。

「隊長」

ニッパーを制しておいて、バルはバイスの前に立った。

「バイス、お前の親方は今はオレだ。それはわかるな?」

バイスはこくん、と頷いた。

「じゃあ、親方の命令だ」

 

「何があっても絶対死ぬな」

 

「守れるな?」

バイスは先ほどのようにぽかっと口を開けてバルを見下ろしていたが、やがて言った。

「わかった。・・・たぶん」

「多分かよ!」

ニッパーがすかさず突っ込む。

「まあいいじゃねぇか、ニッパ。多分、でもわかったなら」

バルは言った。

 

誰かに、死ぬなと言ってもらったことが無い。

だから何故そう言われるのかわからないのだ。

多分。

 

 

「偉いぞ、バイス」

バルが誉めてやると、バイスは嬉しそうにニィと笑った。

 

 

END

 

 

 

 

 

バイスたんがバルクロウ組で仲良くやってたらイイナ!

という妄想。

 

あの子はお馬鹿だけど意外に懐っこいから

二ッパとは喧嘩しつつも仲良さそう。

 

 

2007.06.02