■磁石みたい■

 

 

「ハルは獄寺さん、苦手です」

いつもどおり勝手に部屋に上がりこんできたハルは、ツナの前に座り込むなりそう言った。

「乱暴だし、すぐ怒るし、ランボちゃんを苛めたりするし」

ぷりぷりしながら更にハルは続ける。

「だいたいハルの事をすぐにアホ女と呼ぶのが許せません!」

やれやれ、とツナは内心ため息をついた。

どうしろって言うんだ。

多分またつまらないことで喧嘩でもしたのだろう。

ハルは子供が大好きだが、獄寺はどうみても子供が好きなようには見えない。

特にランボはあの性格故に獄寺にうざがられて、しょっちゅうドツかれている。

それがハルには許せないらしい。

寄ると触ると喧嘩して、まるで水と油みたいだ。

全然合わない。

「ハルは『アホ女』ではありません!ちゃんと三浦ハルという名前があります!」

拳を握り締めてハルは言った。

何か論点ずれてきてるなあ。

そう思いつつもツナは訊いてみる。

「じゃあ獄寺くんが『ハル』って呼んでくれればいい訳?」

ツナがそうしてくれと頼めば、獄寺は嫌々ながらも言う事を聞いてくれるのではないか。

喧嘩の種は無い方がいいに決まっている。

「嫌です!」

そう思って訊いたのに、ハルは即座に否定した。

「獄寺さんに『ハル』なんて呼ばれたら鳥肌が立っちゃいます!」

・・・どうしろって言うんだ。

ツナは再びため息をついた。

獄寺は極まれにではあるがちゃんと『ハル』と呼ぶこともあるのに。

どうにも『アホ女』の方が印象が強すぎるらしい。

喧嘩するほど仲がいい、とも言うけどなぁ。

トラブルメーカーとはいえ、獄寺はツナにとっては大切な友人だ。

出来たら仲良くして欲しい。

ハルの獄寺に対する心証を良くしようと、ツナは言葉を捜す。

「確かに獄寺くんってトラブルばっかり起こすし、やること突拍子も無かったりするけど」

 

「いつも一生懸命でさ、悪いヤツじゃないと思うんだ」

 

「そうでしょうかー」

「うん」

不満気に口を尖らせるハルに頷いてみせながら、ふとツナは思う。

『やること突拍子も無いけど、いつも一生懸命』

そんなヤツ、他にも居なかったっけ?

「・・うーん」

「ツナさん?どうしたんですか」

頭の中で心当たりを探し始めたツナを、ハルが不思議そうに呼んだ。

ちょっとツリ目なハルの瞳がツナの目を覗き込む。

 

ああ、ハルだ。

 

トラブルを巻き起こすのが得意で、一生懸命なんだけど、やることが変で。

 

 

だけど、何だか憎めない。

 

 

何だ、この二人ってそっくりなんじゃないか。

同じ性質のものが同士が、磁石みたいにお互い反発しあっているだけなんだ。

つまりそれは、お互い意識しあってるってことではないだろうか?

其処に思い至ったら、何だか急に馬鹿らしくなってしまった。

「一体どうしたんですか、ツナさん。急に黙っちゃって」

「いや別に」

 

 

 

敵に塩を送ってやることも無いだろう。

そう思ってツナは獄寺のフォローを打ち切った。

 

 

 

END

 

 

 

 

ツナハルで獄ハル風味。

ハルはツナのこと大好きで可愛いと思います。

 

獄寺とハルも結構お似合いではないかと思うのです。

喧嘩ばっかりしてるけど、何かあの子のことが気になる、

言えないけど実は好き、というのは

すごい好きなパターンだったり。

マイメロの小暮と歌ちゃんとか

翔と剣山くんとか(違)

 

2006.02.05