■花を咲かせるのに必要なもの■

 

 

「いつき、今日時間ある?」

HR後帰り支度をしていると、クラスの違うえりかが、つぼみを伴ってひょっこりと顔を出した。

この友人は何時も唐突だ。

いきなり呼び捨てになったり、いきなり合宿へ行こうと誘ったり。

唐突で、呆れるほどマイペース。

それでも、それが嫌ではない。

何時だってそれは自分をウキウキと楽しい気持ちにさせてくれるから。

いつきはにこりと笑って答えた。

「6時から稽古だから、それまでなら」

「よかった!つぼみのお祖母ちゃんトコ一緒に行こうと思ってさ」

「植物園の?」

「そうです!」

つぼみが頷く。

えりかはいつきに近づいてこそりと小声で言った。

「此処だけの話、つぼみのお祖母ちゃんは昔プリキュアだったんだよ」

「え、本当に?!」

「キュアフラワーだったそうです」

つぼみも小声で付け加える。

「いつきにコッペさまと会って貰いたいしね」

「コッペさま?」

「ポプリたちのような、お祖母ちゃんのパートナーだった妖精です」

「へえ・・可愛いんだろうな」

「可愛い?」「かなぁ?」

いつきの言葉にえりかとつぼみは揃って首を傾げた。

「可愛くないの?」

「んーでっかいんだよねぇ」

「でっかいの?!」

こーんな、と手を広げて見せるえりかに、吃驚して問う。

ポプリたちは皆ぬいぐるみサイズで抱きかかえられるのに、コッペさまは違うのだろうか。

つぼみがフォローするかのように慌てて言った。

「でも可愛いですよ」

「うん、もふもふだから、こう抱きついてぎゅうううってしたらいつきなら絶対可愛いって言うと思う」

えりかが手振りと、いつきの口調を真似て言った。

「楽しみだな」

言いながら教室を出る。

外は真夏の日差しが容赦なく照りつけていた。

「夏はいいねぇ。海にプールに夏休み!かき氷に西瓜に冷たい御素麺!」

先頭に立って歩くえりかは元気だ。

暑い中でも元気いっぱいなえりかに対して、つぼみは暑さには弱いようだ。

「私は少し暑いの苦手です」

「なあに言ってんの!つぼみ!」

くるりと振り返ってえりかは言った。

「暑いのはお日さまの恵みだよ!お日さまが居なかったらつぼみの大好きなお花は咲かないんだよ!」

「は!そうでした!スミマセン!!」

「ボクに謝られても」

頭を下げるつぼみに苦笑する。

「スミマセン」

キュアサンシャインだから、つい。

そんなカンジなのだろう。

そのやり取りを見ていたえりかが思いついたように言った。

「そう言えば、私たちってお花が咲くために必要なもの、揃ってるね!」

「お花が咲くために」

「必要なもの・・?」

唐突にえりかが何を言い出したのかわからずにいつきとつぼみは顔を見合わせる。

えりかは人差し指を立てた。

「キュアブロッサムが『大地』でしょ」

大地に咲く、一輪の花。

自分の決め台詞を思い出してつぼみが頷く。

「んで私が『海風』だから、まあ、水として、んでキュアサンシャインが」

「「「おひさま!!」」」

3人の声が揃った。

「自分たちで勝手に名前を付けたのに、なんだか不思議ですね」

つぼみが感慨深げにそう呟く。

其れを受けてえりかが言った。

 

 

「私たち、誰が欠けても駄目なんだよきっと」

 

全員で、心の大樹を守りなさいと。

誰かがそう囁いた、気がした。

 

「と、言う訳でえ!」

えりかはにっこり笑う。

「とりあえず皆で早くつぼみのお祖母ちゃんトコ行って、大福食べようか!」

御茶菓子が目当てらしい。

ちょっと真面目な雰囲気になっていただけにぶち壊しだ。

つぼみがブーイングをする。

「ええー、お花を見に行くんでしょう」

「それもあるけど!とにかく早く行こうよー」

ぐいぐいと手を掴んで引っ張るえりかに、いつきは笑った。

つぼみも、もう仕方ないですねぇと言いながら笑う。

 

何時だって唐突で、呆れるほどマイペースだけれど、其れに振り回されるのは決して嫌じゃないことなのだ。

 

 

 

 

END

 

 

 

えりかとつぼみといつきちゃん

えりかのあの性格は

一歩間違えれば嫌がられそうなのに

皆がえりかのこと好きだなって。

其れはいつでもえりかが本気だからじゃないかと。

いつきちゃんはああいう風にガンガン突っ込んでくる友達居なかっただろうから

特に新鮮なのでは。

 

2010.08.08