■手紙■

 

 

「だいたいさ」

くるみと並んで街を歩きながらシロップが言った。

「何でうららはわざわざ手紙寄越すんだよ?そりゃ運び屋の仕事で居ない時も多いけど、たいていキュアローズガーデンに居るのに」

ぶつぶつと文句を垂れてはいるが、その顔は何処か嬉しそうに見える。

その手にはシロップ宛にうららから送られてきた手紙が握られていた。

中には2人分の舞台のチケットが入っている。

うららの主演する舞台だ。

シロップの言葉にくるみは呆れたように返す。

「そりゃあ、シロップに手紙を書きたいからに決まってるでしょ」

何を当たり前のことを言っているのだ、というくるみの口調にシロップは反論した。

「だってキュアローズガーデンには皆好きな時に来れるんだし、忙しくて暇がないなら薔薇の世話にしょっちゅう来てくれてるりんやかれんに言伝たっていいじゃないか」

「まあそれはそうだけれど」

シロップの主張に同意を示しながらも、くるみは全然わかってないのね、という呆れた様子を隠そうともしない。

「別にうららはチケットを送るためだけのために手紙を書いてるわけじゃないのよ。『シロップに観に来てもらいたい』って思いを込めて書いてるんじゃない」

本当に強い思いがなければメルポには届かない。

「オレに?」

シロップが訊き返すのに、くるみは頷いてみせる。

「そうよ、私へなんかついでよ」

うららが居たら、そんなことはないと言うだろうが、くるみは敢えてそういう言い方をした。

ちょっと鈍い運び屋を焚きつけてやらなければならない。

「手紙の方が伝えられることだって沢山あるしね」

くるみは続けた。

「それに、シロップ、前に手紙貰ったの初めてだって、喜んでたことあったじゃないの」

「あ、ああ」

エターナルの館で、プリキュアの5人が、アナコンディに固められて、彫像のようにされてしまった時のことだ。

あの時、5人からの手紙をシロップは受け取った。

運び屋のシロップは手紙や思いを運ぶのが仕事だから、自分宛というものは貰ったことがなかったらしい。

始めて貰った手紙を嬉しいと口にしていた。

「それを、うららはきっと覚えているのよ。シロップに喜んで貰いたいんだわ」

「そう、か」

そう言ってシロップは手の中のチケットに視線を落とした。

嬉しそうなその横顔に、くるみは言った。

 

「好きな人には喜んで貰いたいものだものね。よ 、シ !」

 

区切るようにゆっくり、からかう意味も込めて言ってやる。

「な、オレは別にっ・・!!」

赤くなって慌てるシロップを置いて、くるみは笑いながら歩調を速めた。

 

 

劇場はもうすぐだ。

 

 

 

 

END

 

 

 

シロうら

で、くるみとシロップ。

くるみはシロにとって年の近い姉ちゃん、みたいなイメージです。

言いたいこと言うし、こき使うけど

弟の恋はちゃんと応援してますよ(^−^)

 

2009.02.08