■空気■

 

 

帰ってきた、と思ったらいつもと変わらなかった。

撃たれて血が出てたし、服だって穴が開いてたのに、綺麗さっぱり何の形跡も無い。

何ともない。

 

心配してソンした。

 

そう思ったのもつかの間、放り投げられたモノにヤコは心臓が飛び出るかと思うほど仰天した。

慌てて受け止めたソレは、、魔人ネウロの手首。

 

 

 

そして、今に至る。

 

 

動かすなと言われたが、手首をずれないように一晩中支えているのも結構大変だ。

何かトゲとか生えてきてるし。

 

切られた手をこうしているだけでくっ付く。

人間なら、ありえないことだ。

だけど無敵の魔人では無くなってきているのも事実で。

 

そういえば魔界じゃ眠る必要も無かったとか、そんなこと前に言ってなかったけ。

人間界に来てから眠るようになったと。

確かに呑気に寝てたら他のヤツに食べられちゃいそうだけど。

ヤコはもちろん魔界には行ったことはないが、ネウロの話を聞いているとロクな所じゃないと思う。

魔界には瘴気というものがあって、それはこちらで言う空気のようなものだそうだ。

空気が無いってことは息が出来ないってことなんじゃないだろうか。

 

其処までして謎を求めてる。

 

すごい、食欲。

 

感心してしまう。

 

「・・・・・」

ヤコは少し考えた。

 

すごい食欲、というのは自分がいつも言われる言葉ではなかったか?

 

自分ならばどうするだろう。

空気の無い所へやってきてまで、それでも食欲を優先させるだろうか。

 

そんなことが、出来るだろうか。

 

「・・・・・」

ヤコは再び考えた。

今度は長考だったが、答えは出なかった。

「ま、いいか」

ヤコはその一言で済ますことにした。

考えたって答えは出ない。

そんなことその場になってみなきゃわからない。

 

 

 

とりあえず今はこの魔人がヤコに手を預けて眠っているという現実。

 

 

それがすべてなのだから。

 

 

END

 

 

 

 

 

 

第59話「手」があまりにネウヤコで萌えだったので。

ネウロってばヤコたんを信じきってる。

 

最初は誰でも良かった、たまたま選んだ「人間の助手」だけど

今はもうヤコたん以外には考えられないと思う。

 

 

2006.05.10