■苦手意識■

 

 

 

「今井先輩、もう行くんですか?」

後ろからかけられた声に今井は振り返った。

「ああ」

いつもと変わらない調子で声をかけてきた火向に、簡潔に返事をする。

そして、小さく付け加えた。

「藤原の両親に会いに行かなければならないからな」

正直、気が重い。

藤原の死を、その両親に告げに行くのは。

自分の力不足で、死なせてしまったと告白するのは。

 

 

だが、事実だ。

 

それに。

 

「ビコの側に居たくない、ですか?」

「・・・そうだな」

今井は自嘲気味な笑みを浮かべて火向の言葉を肯定した。

 

後輩である火向の、こういうところが苦手だ。

軽薄そうに見えて、聡い。

人の心の動きに、敏感だ。

 

それは友人が闇に落ちるのを阻止できなかったことからくるものかもしれないが。

もっと早く、気が付いていたら。

もっと早く、止められていたら。

そんな後悔を、もうしないために。

 

「ビコ、リオ先生のことばっかり考えてるもんな」

火向は申し訳無さそうに苦く笑いながら言った。

「それは、仕方なかろう」

そう、仕方がないことだ。

誰だって見も知らない他人よりも、自分の近しい人の方が大切だ。

だが、だからこそ。

 

裏切ったリオ師を許すことが出来ない。

 

リオ師がソフィーの房の札を剥がしたことで、何人も人が死んだ。

何の罪もない人が殺された。

藤原も。

それが自分の力不足が原因だとしても、どうしても許すことは出来ない。

リオ師を責める言葉しか思いつかない。

それがその弟子、我孫子優をどれだけ傷つけるかわかっていても。

 

だから、側に居たくない。

何を言ってしまうかわからないから。

 

「優しいですね、先輩」

「いや」

火向の言葉を今井は否定した。

 

 

「ただ、弱いだけだ」

 

 

そう、弱いだけ。

 

 

「お前は我孫子殿の側にいてやれ」

「今井先輩」

そう言って背を向けた今井に、火向が再び呼びかける。

 

 

「魔法律家やめるなんて、言わないよな?」

 

 

軽薄ソウニ見エテ、聡イ。

人ノ心ノ動キニ、敏感ダ。

 

 

「誰に言ってるんだ、火向」

今井は振り返った。

 

「私がやめるわけがないだろう」

 

「よかった」

今井の表情を見て、火向はほっとしたように笑った。

じゃあ、と手を振って戻っていく。

「まったく」

 

 

 

「だから私はお前が苦手なんだ」

小さくなる背中を見送って、今井は小さく呟いた。

 

 

 

END

 

 

 

 

ヨイチが「今井先輩」と呼んでるのにかなり萌え(^_^)

先輩!

いい響き!!

ヨイチは普段カルイので今井さんとは合わないかも

でもいざとなったらデキルやつなので結構買ってるかも

・・妄想は尽きません(^^ゞ

 

今井さんはカッコよくて真面目で大好きです。

ヨイチもイイ男だと思うの。

 

2005.08.27