■白い花■

 

 

白い花に水をあげるよ。

 

綺麗な水を。

 

・・・・その花が

 

好きだった。

 

 

 

「リオ先生」

「どうしたの、ビコ?」

教室へ入ってきたリオにビコは訴えた。

「ヨイチが花をピンクにしちゃった」

「ピンクに?」

ビコはリオに教壇の花瓶を差し示した。

見れば確かに薄いピンクの花。

昨日までは、白い花だった。

なんと言う名の花かは知らなかったが、リオが自宅の庭に咲いていたから、と教室へ持ってきた花だ。

「まあどうしたの?」

「花瓶の水に赤インクを混ぜたんだ」

ヨイチは悪びれずに言った。

「ピンクも綺麗だろ、先生」

水に混ぜた赤インクを吸って、白い花がピンクに染まったらしい。

ヨイチ的にはちょっとした悪戯だったのだろう。

しかし思ったより綺麗に染まったので、リオに喜んでもらえるのでは、という期待もあるらしい。

 

ヨイチもリオのことは好きだった。

 

「ロクなことしねぇな、ヨイチは」

ムヒョがヒヒと笑った。

「なんだと!」

「まあまあ」

食って掛かるヨイチを宥めてリオは言った。

「そうね、ピンクも綺麗よね」

「だろ!」

胸を張るヨイチにビコが文句を言う。

「白の方が綺麗だったよ!もともと白だったんだもん!」

 

第一印象は真っ赤な薔薇だった。

赤く派手な薔薇は、その容姿を武器にしているようで、好きになれなかった。

だけど。

 

「無理やり色を変えたら可哀想だよ」

「そうね」

ビコの意見にリオは同意した。

「えー」

ヨイチが不満げに口を尖らせた。

ヨイチが悪気があってやったわけではないとわかっているだけに、リオは困ったように笑うと、言った。

「ピンクも素敵だけど、この花はもともと白だったのですもの」

 

 

「白が一番似合う気がしない?」

 

 

第一印象は真っ赤な薔薇だった。

赤く派手な薔薇は、その容姿を武器にしているようで、好きになれなかった。

 

だけど、今は。

 

 

 

「先生、これ、どうすればいい?」

ヨイチが花瓶を指して訊いた。

「とりあえず、お水を替えてあげましょう」

「ほれみろ」

ムヒョがまたヒヒと笑った。

「本当にヨイチはロクなことしねぇな」

「うるさいな!」

 

ムヒョだってリオのことは好きだった。

 

それからみんなで花瓶の水を取り替えに行った。

 

あの時はエンチューだって一緒に、居た。

 

お願い

夢なら覚めて。

 

 

その白い花は、先生のようだった。

だから、好きだった。

 

 

 

違う色になってしまったけれどその花に水をあげるよ。

綺麗な水をあげるよ。

 

 

その花が好きだから。

 

 

だから

 

 

 

戻ってきて。

 

 

 

END

 

 

 

 

ビコたんの思いはリオ先生に届くのかどうか。

リアルで書いてるとびくびくします。

でも書いておきたかったので、書く(笑)

第33条前に何とか間に合った、かな。

 

リオ先生戻ってきて。

ビコたんが待ってるよ。

 

2005.07.30