■聖なる使者■

 

 

今年もこの季節がやってきた。

聖なる使者の衣装は、正直配達員たちに評判は良くないようだが、このイベントはハチノスにとっても大切なものなのだ。

テガミバチは、心を届ける仕事なのだから。

「このテガミの配達はザジが適任かな」

届けるテガミの宛先を見て、ハチノス館長ロイドは言った。

「そうですね。適任だと思います。ですが、ザジは鎧虫の方に気が行ってしまう心配があります」

同じように宛先を見て、副館長アリアは意見を述べる。

「ラグ・シーングと組ませてみたらいかがでしょう?」

「そうだね。組ませてみようか。ザジは意外に面倒見がいいしね」

にこり、と笑ってロイドは言った。

その宛先は親を亡くした子供。

その小さな村では、鎧虫に襲われて死んだ人間の身内が、また鎧虫を村に呼ぶなどという迷信が実しやかに囁かれているらしい。

 

馬鹿なことだ。

 

目の前で親を亡くした子供が、そんなことをするだろうか。

自分と同じ思いを皆がすればいいなどと思うだろうか。

 

文句を言いながらも聖なる使者の衣装を着て、ラグを伴って出かけて行ったザジの後姿を見送りながらロイドは呟く。

「口は悪いけど、面倒見がいい、いい子だからね」

「そうですね」

頷いて、アリアは言った。

「ところで館長、この界隈で野良猫に感染症が流行っているそうなのですが」

「ああ、サンダーランド博士から聞いているよ。元気な猫は病原菌が特定するまで隔離してくれるように頼んでおいた」

火の付いていない煙草を咥えてロイドがそう言うと、副館長は仕事時とは違う笑顔を見せた。

 

END

 


館長と副館長。

ハチノスの大人たちが配達員の子供組に優しいとイイナと思って。

アニメネタで失礼。そしてクリスマス話を今頃書いて失礼;;

 

10.01.10