■パン屋にて■
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「こんちわー、パンくださーい」 「いらっしゃい。お、ザジか」 扉を開けて入ってきた客を、シナーズの主人は出迎えた。 シナーズは、パン屋兼政府公認の武器店であるから、テガミバチとは多かれ少なかれ面識がある。 今日は残念ながら武器屋ではなく、パン屋の客のようだ。 「どれにする?」 「んーなんかとりあえずいっぱい欲しいんだけど」 パンを買いに来たテガミバチは曖昧な返事をした。 「一人じゃそんな食えねえだろうよ」 ザジが一人暮らしであることはゴベーニも知っている。 「たくさん買って帰ったって硬くなるだけだぞ。パンは出来たてが一番美味いもんだ」 「ん、そうなんだけどさ」 ザジは頬を掻いた。 「最近、シルベットんトコで食ってんだよね」 「シルベットの所で?・・ああラグか」 シルベットの兄、ゴーシュ・スエードはテガミバチで、この店に出入りしていた。 足の悪い妹のシルベットもこともよく知っている。 そしてニッチがこの店に迷い込んだことで、ラグ・シーイングとも知り合った。 ゴーシュに憧れて、テガミバチになった少年。 今はシルベットの所に居候している。 年も近いザジとコナーは、ラグと仲が良いらしい。 「たまにはパンくらい買ってかないと、と思ってさ。コナーがすっげえ食うし。さすがに悪いじゃん」 「コナーも一緒なのか」 大きな袋にパンを適当に見繕いながら問う。 「うん、そう」 「そうか」 ゴベーニは大きく頷いて言った。
「そりゃ賑やかで、楽しそうだな」 兄が居なくなって一人で暮らしていた足の悪い少女の所に、兄の『友達』としてやって来た少年。 その少年を通じてさらに其処に人が集まっている。 「・・・まあ、楽しいかな」 ザジは自分の言葉が少し照れ臭いようで、言い訳のように話を続ける。 「シルベット、なんでザジとコナーまでウチでご飯食べてんの、とか文句ばっか言ってっけど、来るなって言わねーんだよなー」 「そうか、よかったな」 騒々しい、だが楽しそうな食事風景が容易に想像できて微笑ましい気持ちになる。 ゴベーニからしたらザジだってまだまだ子供だ。 「すいませーん、パンくださーい。あれザジも来てたの」 扉が開いて、コナーが顔を見せた。 ザジが悪戯を思いついたような顔でニヤと笑う。 「パン代、コナーにつけといて」 「おお」 「えー」 不満そうなコナーに笑いかけて、ゴベーニは袋に詰めていたパンに、ひとつオマケをしてやった。
END
ザジとゴベーニさん。 一応顔見知りっぽかったので。 ゴベーニさんとこは子供を亡くしてるっぽいので 親が居ないザジをちょっと心配してくれてたりしたらイイナ!という願望を詰めてみました。 ラグやザジ達が皆でわあわあ騒ぎながらご飯食べてるの可愛くて大好きです。
09.11.29
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