■「元気です」■

 

 

 

「ウィンリィ、お腹すいた〜!なんか食べさせて〜」

仕事場へやってきたパニーニャが大袈裟にお腹を押さえて言った。

パニーニャはウィンリィがこの町へ来て、最初に出来た友達だ。

もともとの出会いはパニーニャがエドの銀時計を盗んだことからだった。

スリをやめて真面目に働きだしてから時々こうやってパニーニャはウィンリィの修行先にやってくる。

まだまだ信用が無く、仕事の少ないパニーニャは月末はどうしても苦しいらしい。

「まったく、仕方ないわねぇ」

ウィンリィは大袈裟にため息をついてみせる。

その割に顔は笑っているのだが。

「食料何も無いから買出し付き合ってよ」

「わーい!付き合う付き合う」

パニーニャが大喜びで両手を上げた。

真面目に働いて自分に機会鎧をつけてくれたドミニクさんに少しでもお金を返したいと頑張っているパニーニャを、ウィンリィも応援したいと思っている。

 

それに一人で食べるより、二人で食べた方が楽しい。

 

明るく、屈託のないパニーニャとのお喋りを交えての食事はいつもの倍美味しく感じるのだ。

 

 

 

「ウィンリィって意外に料理上手だよね」

「意外は余計でしょ。アンタ本当に口悪いわね」

「機械鎧のことしか興味無さそうになのにさー」

誉めているのかいないのかわからない感想を述べながらパニーニャが食後に出したアップルパイを口へ運ぶ。

初めて作ったアップルパイの感想を求めてウィンリィが訊いた。

「もうちょっとシナモン足した方がいいかな?」

「あたしはこのくらいで丁度いいけどな」

美味しいよ、とパニーニャは言った。

別にお世辞では無さそうだ。

もともとお世辞を言うようなタイプではないが。

アップルパイをさらに齧りながらパニーニャが言う。

「エドに食べさせるために練習してるの?」

「エドと、アルよ」

 

二人が元に戻ったら一番に食べてもらうのだ。

 

「エドのためじゃないの?」

「違うわよ」

何かというとパニーニャは幼馴染の錬金術師の名前を出してくる。

自分達の関係を少し誤解しているようだ。

「まあアイツ小さいしねー」

カッコよくて背が高くてお金持ちのオトコの方がいいよね、などとパニーニャが勝手なことを言うのを聞きながらウィンリィは言った。

「・・・今度エドが来たらパニーニャがそう言ってたって伝えとくわ」

「えーやだやだやめてよ!アイツ切れるとしつこいんだもん!」

エドの銀時計をすって町中追い掛け回されたときのことを思い出したのかパニーニャが足をじたばたさせながら騒ぐ。

「それも言っといてあげるわ」

「ひっどー!!」

ぶーぶー文句を言いながらパニーニャの手は2つめのアップルパイへとのびている。

甘いものは別腹とは良く言ったものだ。

「でも本当美味しい。いい嫁さんになれるよ」

「何でそうなるのよ」

自分もアップルパイを齧りながらウィンリィが言う。

「だいたい何でいちいちエドの名前が出てくるのかわかんないわ」

「えー?マジで?ウィンリィ激ニブ!!」

 

 

騒がしい食事も終わりに近づいた。

一人で食べるより、二人で食べる方が、楽しい。

 

 

 

元気が出る。

 

 

 

 

ばっちゃん

アル

 

・・エド

 

私は元気でやってるよ。

 

 

END

 

 

 

「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」

・・ってなノリで(^_^)

2004.03.08