■おひさまに向かって■

 

 

「ウィンリィってヘンだよね」

ウィンリィの仕事場で休憩と称し勝手にお茶を飲みながらパニーニャが言った。

それに作業台から顔を上げてウィンリィが返す。

「機械鎧オタクって言われたことはあるけどヘンって言われたのは初めてだわ」

「・・・機械鎧オタクもそうとうヘンだと思うけど」

少なくとも女の子に対する誉め言葉ではないと思う。

「いいじゃないのよ機械鎧!」

「はいはい」

いつもの調子で機械鎧の良さを謳おうとするウィンリィを軽く受け流してお茶を啜る。

 

 

ヘンだよ。

人のことばかり心配する。

 

パニーニャがスリをやめて、きちんと仕事を始めてすぐ泥棒扱いされたことがあった。

仕事の都合で立ち寄った家で指輪が無くなったのだという。

今までが今までだし、仕方の無いことだ。

そうだ、仕方が無い。

パニーニャはそう思った。

だがウィンリィは違った。

絶対にパニーニャは盗っていないと主張し、無くなったという指輪を必死で探してくれた。

散々探して、それでも見つからなくて。

もう、いいよ。

パニーニャがそう言ってもウィンリィは諦めなかった。

『あたしが嫌なのよっ』

ウィンリィはそう言った。

『あたしの友達が泥棒呼ばわりされるなんて許せないの』

友達。

ウィンリィはそう言った。

知り合ってまだ日が浅いのに。

 

―お日様があたたかくてやけに近くに感じた―

 

機械鎧になった両足でまた立てたときのことを思い出していた。

 

 

ヘンだよ。

自分のことでもないのに。

人のことばかり心配する。

 

 

結局指輪はその家のまだ小さな子供が持ち出しておもちゃにしていて。

泥棒扱いしたことを散々謝られた。

もう、いいよ。

素直にそう言えた。

そんなことはもうどうでもよかった。

 

 

自分のことのように怒ってくれる人が

自分を信じてくれる人が、いる。

それだけで、もう。

 

 

 

「でもあたしウィンリィ好きだよ。ヘンだけど」

カップから口を離してにぱり、と笑う。

「ヘンは余計よ」

ウィンリィはパニーニャの頭を軽く小突いた。

「でもあたしもパニーニャ好きよ」

「あはは。両想いだねっ」

パニーニャは笑った。

「エドに言ってやろっと」

「ちょっと」

ウィンリィの幼馴染の国家錬金術師の名を出してやるとウィンリィが不満げに口を尖らせた。

「何でそこでアイツが出てくるのよ」

パニーニャはそれには答えず、にやにやと意味ありげに含み笑いで返す。

ウィンリィはパニーニャのカップを取上げて言った。

「さ、休憩おしまい!仕事してきなさい」

「はーい」

返事をして外に飛び出す。

 

いい天気だ。

 

自分の足で立ってお日様の光を浴びる。

でも

自分ひとりで立っているわけじゃないって実感する。

 

ヘンな人たちに支えられてる。

 

 

END

 

 

 

パニーニャの話。ウィンリィとは仲良さそう。

2004.02.29