■沈黙は金、雄弁は銀■

 

 

「神楽ちゃんも黙ってれば、可愛いんですけどねぇ」

万事屋の応接室のソファで、新八がしみじみと言った。

「可愛いだなんて、新八、今頃私の魅力に気がついたアルか」

遅いネ、と言いながら神楽がソファの上でポーズを作る。

「いやいや、今の誉めてないから。むしろ貶されてるから」

その向かいで銀時が手を横に振ってみせた。

「マジでか」

「喋ったら可愛くないってことだよ」

「いや、其処までは言ってませんよ」

新八が今度は手を振った。

神楽がうがあ!と立ち上がった。

新八の胸倉を掴んで力の限りがくがくと揺さぶって叫ぶ。

「新八、お前失礼アル!ダメガネのくせに!!」

「ダメガネ言うな!」

新八も負けずに怒鳴った。

「大人しくしてれば可愛いって言ってんの!」

「私は何時だってお淑やかネ」

ぱっと手を離した神楽はシナを作って見せた。

銀時が突っ込む。

「誰がお淑やかだっての」

「銀ちゃんまで酷いアル!私は何時だってお淑やかで可愛いネ!うら若き乙女に酷い言い草ネ!マミーだって美人だったし、パピーはまあ・・アレっていうかぶっちゃけハゲだけど、でも私はマミーに似てるってよく言われるから、今にボンキュッボンってナルネ!そうなってから惜しいことしたって後悔したって遅いアルよ!!」

「はいはい」

「適当な返事するの止めるネ!」

グチグチと更にいつまでも文句を言っている神楽を適当に受け流して、銀時は立ち上がると台所から黒い瓶詰めを持ってきた。

それを泣き真似する神楽の前で振ってみせる。

「はい、コレな〜んだ?」

「『ごはんですよ』アル!」

きらきらと目を輝かせて神楽は言った。

「あたりー」

言いながら神楽の手にその瓶を乗せてやる。

「銀さんが大事に仕舞っておいた秘蔵の『ごはんですよ』をやるから、いつまでもうだうだ言ってるんじゃないっての」

「大事に仕舞っておいた、って単に買ってあるのを忘れてただけでしょうが。賞味期限が切れそうだから片付けたいだけでしょ」

実はその通りなのだが、新八の突っ込みは神楽の耳には届かない。

「ありがとう、銀ちゃん!!」

大喜びで炊飯器ごと持ってきて、さっそく瓶を開けている。

「ちょっと神楽ちゃんご飯全部食べないでよ!」

もちろんこの突っ込みも神楽には届かない。

どんだけ白米が好きなんだか。

美味しそうにもふもふと口を動かす様はどうみてもお子ちゃまで、女の色気とは果てしなく遠い位置に存在している、と思う。

 

まあ確かに色は白いし、髪はサラサラだし、目は大きいし

黙っていれば可愛いかもしれない、けど。

 

「銀ちゃん、美味しいアル」

神楽が頬っぺたにご飯粒をつけたまま、嬉しそうににっこり笑った。

 

「・・・ああ、そうか。よかったな」

つい、反応が遅れる。

訝るように新八が銀時の顔を覗き込んで言った。

「どうしたんですか、銀さん。顔、赤いですよ?」

「何でもねえよ」

誤魔化すように手を振って新八を台所へ追い払う。

言えるわけが無い。

 

 

うっかり、喋っても可愛いと思ってしまった、なんてことは。

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀神

ウィキを見てたら神楽ちゃんの説明に「美少女」と書いてあったので。

怪力と食欲と言動に気をとられちゃうけど

確かに色白の美少女なんだよなー。

 

うっかりああ可愛いなと銀さんが思っちゃったらいい。

 

アンケで銀魂に票をくださった方に捧げます。

 

 

2008.01.09