■年頃の娘は扱いが難しい■

 

 

「銀ちゃん大人しく寝てるアルよ」

「寝てるだろうが」

布団の上に横になった銀時が面倒くさそうに返事をする。

もう大分怪我も治ってそろそろ起きたいのだが、神楽は相変わらず枕元に陣取って銀時を見張っている。

「こんなに寝てたら床ずれが出来ちまう」

寝たきり老人のような気分になって銀時が言った。

神楽がジャンプを手に取った。

「退屈ならジャンプを朗読してあげるネ。銀ちゃんの大好きなアレネ。『あはん真中どの電気を消してくだされ』」

「だあああ〜っ!!!それはもういいっつーの!!お前には早いって言ってるだろうが!!」

叫びと共にジャンプを取り上げられて神楽はぷう、とむくれた。

「銀ちゃんはすぐ私を子ども扱いするネ。もう私子供じゃないネ。立派なれでぃアルよ。オロナミンCだって飲めるネ」

どうして其処でオロナミンCが出てくるのだろう。

考えたら其れは自分の原因があるような気がしてきた。

オロナミンCなら飲んでいい、とか言ったような。

つまり神楽は銀時の言ったことを真に受けてオロナミンCは大人の飲み物だと信じているのである。

素直といえば素直だ、と思う。

「オロナミンCはいいからジャンプ買って来いジャンプ。それ先週号じゃねーか。いいか、赤まるジャンプ買ってくるなんて母ちゃんみたいな間違いすんじゃねーぞ。素昆布も買ってきていいから」

言いながら枕元の財布を引き寄せて小銭を数枚手のひらに乗せてやる。

「マジでか!銀ちゃん太っ腹アルな!」

素昆布も許可されたことに神楽は小躍りして喜んだ。

これで子ども扱いするなとは聞いて呆れる。

「じゃあ行ってくるアル。銀ちゃんは大人しく寝てるアルよ」

「はいはい」

適当に返事をすると、いきなり目の前に小指が突き出された。

「何だよおい」

「指きりネ」

「はあ?」

指先を見つめて聞き返す。

「銀ちゃん知らないアルか、指きり。近所のガキ共がやってるの教えてもらったネ」

「いやもちろん指きりは知ってるけどな」

何故此処で指きり。

そもそも指きりなんていつ以来だろうか。

神楽はにこっと笑うと素早く銀時の指に自分の指を絡めた。

「ちゃんとイイコにして寝てるって約束ネ。守らないとハリセンボンね」

 

♪指きりげんまん

 

可愛い声で楽しそうに歌う。

その様子に思わず見惚れた。

指先を見つめ、伏せられた睫毛にどきり、とする。

「指切った!」

歌の終わりと供にその指が解かれた。

ぼんやりと指先を見る。

「どうしたね銀ちゃん」

神楽が顔を覗き込んでくる。

「いやなんでもねぇよ」

 

 

繋いだ指先を離すのが惜しいなどと、うっかり阿呆なことを考えてしまった。

 

「大人しく寝てなかったら本当に針飲ます気じゃねぇだろうなおい」

「当たり前ね。指きりはそういう約束ね」

「マジでか」

こいつならやりかねない。

銀時は大人しく寝ていようと誓う。

命は惜しい。

本気なのかどうなのか、神楽はけらけらと笑った。

「針を千本も集めるの大変だから銀ちゃん大人しく寝てるアルよ」

「はいはい」

銀時は布団からひらひらと手を振る。

神楽はにっこり笑ってジャンプの買出しに出かけた。

玄関の扉が閉まる音を聞いてやっと息をつく。

 

「まったく扱いづらいお年頃だ」

 

子供にしか見えないくせに、時々妙に大人びて見えたり。

どう対応していいか困る。

 

 

銀時のボヤキは布団が吸い込んだ。

 

 

END

 

 

 

 

 

銀神

紅桜編後。

子供だと思っていても

時々どきっとしたらいい。

女の子は子供だと思っていても

結構オトナだよ、みたいな。

 

ジャンプの朗読を焦って止める銀さんが好きです(^_^)

 

2007.07.08